あるところに売れない画家がいた。
彼は無類の足フェチだった。
毎日毎日、女性の足ばかりを描いていたが、最近マンネリ気味になってきたなと思い始めた。
「ん～～～、なんか、こう、、、足んないんだよな、、、刺激というか、、、」
ブツブツ言いながら散歩していた。
いつもと違う道を歩いていると、女性たちの活気のある声が聞こえてきた。
なんだろうと彼は近くまで行ってみた。
そこには、サッカーに興じている若い女たちがいた。
健康的で鍛え抜かれた肉体が躍動していた。
特にきめ細かい皮膚に包まれた力強い足に彼は魅了された。
彼は一番気に入った子にモデルを頼んだ。
引き受けてくれるか自信は無かったが、意外にも彼女はオッケーしてくれた。
アトリエに呼んで、絵を描き始めた。
「う～～～ん、実にいい足だ。傑作が描けそうだ！！」
久しぶりに彼の心は燃え上がった。
彼女のふとももを見れば見るほど創作意欲が沸き上がり、性欲も沸き上がった。
「うぁっ！たまらん！」
我慢できずにふとももを舐めまわした。
彼女は怒った。
「こ～のぉ～野郎！！」
サッカーで鍛えた足でキンタマを思い切り蹴り上げた。
ボゴォーン！！という生々しい音が鳴った。
凄まじい衝撃が彼の脳天を突き上げた。
「ごふぉ、、、、、、、、」
彼は床に倒れ、悶絶した。
「なんだ、この地獄のような痛み、、、絶望感、倦怠感、、、、」
数時間のたうち回って、彼は力を振り絞って起き上った。
そして、絵筆をとった。
そのとき描いた絵は、コンクールでグランプリに輝いた。
評論家、記者、画商たちが彼を取り囲んだ。
「あなたの名前と絵の題名は？」
「私の名はムンク。題名は『悶絶』」
＊＊＊ おわり ＊＊＊
