朱美は、実業団の女子陸上部に所属する選手だった。
今まで指導してくれたコーチが突然行方不明になり、急遽新しいコーチが就任することになった。
塩見大悟という名前だった。
そのコーチは、どこか不思議な感じであった。
言葉では表現できないが、今まで見てきた男と違う雰囲気を持っていた。
彼は選手たちに奇妙な練習方法を教えた。
彼女達は戸惑ったが、数か月後には素晴らしい成果が出た。
塩見マジックと呼ばれるようになった。
彼にはもうひとつ不思議なところがあった。
コーチ室には彼以外、誰も入ってはいけないという鉄の規則だった。
それは徹底されていて、いつも鍵がかかっていた。
ある日、朱美はコーチが教えてくれた練習方法について質問をした。
「コーチ、この練習法はどこで学ばれたんですか?」
「ん~と、どこだっけかな、、、、たしか、スタンフォード大学のハーディング教授が開発したんだっけかな、、、、」
「そうなんですね」
朱美は詳しく知りたかったので、ネットで調べることにした。
しかし、どうやってもその情報を見つけることができなかった。
知りたい気持ちが抑えられない彼女はコーチに聞きに行った。
コーチ室をノックしても返事がなかった。
何気なくドアノブを廻すと開いてしまった。
いつも鍵がかけられているのに、この時は違っていた。
彼女はコーチ室の中も興味があったので入ってみることにした。
入ってみると、まず紫色の高さ2メートルくらいの装置が目に入った。
(これはなんのためのものなのかしら?)
そう考えていると、足音が聞こえてきた。
(あっ!コーチだ!隠れなきゃ)
彼女はクローゼットの中に入った。
コーチは椅子に座り、パソコンの電源を入れた。
そして彼は食い入るように画面を見はじめた。
なにやら女性の体のようだった。
(コーチも男なのね)
コーチはペニスを出し、オナニーを始めた。
(いけないものを見ているかも、、、、)
なにをオカズにしているのかと画面をよく見ると、着替えをしている自分やチームメートの体のアップ写真があった。
「あっ!」
彼女は思わず声を上げてしまった。
彼は朱美が隠れていることに気付いた。
気の強い彼女はクローゼットから出た。
「私たちを盗撮してたんですか!?」
「そうさ」
「信じていたのに」
「フフフ。本当の俺を教えてやろう。俺は22世紀からタイムスリップしてきたんだ」
「なぜタイムスリップしてきたの?」
「その頃の女子アスリートは肌の露出が少なくてね。たまたまネットで昔の女子選手の画像を見たんだよ、、、もう、それはそれは興奮しちゃったんだんだよ」
「まあ、いやらしい」
「一応、陸上競技の指導法を頭に入れて、コーチになって君たちに近づいてきたってわけさ」
「じゃあ前のコーチは、、、、」
「山の中に埋めたさ」
「ゆ、許せない!!」
彼女がそう言うやいなや、彼は紫色の装置の中に入った。
「これはタイムマシーンさ。22世紀に戻るよ。じゃあな。ちなみに君の下着姿は最高だよ」
「この~~~~~」
彼女の怒りは頂点に達した。
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