21世紀にAI技術は進歩したが、人間の自然言語は理解できないとされていた。
しかし、西暦203X年にザニスベータ社は自然言語を理解できるAIの開発に成功したと発表した。
さらにコンピューターに人間の性欲を持たせることにも成功したとのことだった。
そのことは世界に衝撃を与えた。
世界は二つに分断された。
ひとつは、ザニスベータ社のAIを採用して豊かな社会を作ろうとする勢力である。
もう一つは、その技術は不明瞭であり、AIは人間の雇用を奪い、社会は悪くなると考える勢力である。
事実、ザニスベータ社は仕組みをまったく明らかにしなかった。
ハリエットは陸上競技で鍛えた健脚を活かし、アンダーグラウンドの運び屋をやっていた。
「よう!ハリエット!早速だけど仕事だ」
「おはよう、バーリー。喜んで引き受けるわ」
「行先は、、、カリギュラシティーはずれのザニスベータ社の研究所だ」
「えっ!あの会社ね!で、ものは?」
「おわっ!」
箱の中を見ると、氷で冷やされた男性器があった。
「世間には言えない臓器利用だ。だからうちに依頼があったんだ」
「オッケー!!」
彼女はザニスベータ社のAI利用反対派に属していた。
「人間の思考を数値化できるはずはない、、、、一体、男性器を何に使うのだろう?」と走りながら考えた。
ハリエットは会社に着いた。
約束の場所で担当者にものを渡すはずであったが、誰もいなかった。
待っていたが、彼女は次の仕事もしたいので、担当者が近くにいないか探しに行くことにした。
うろうろと歩き回っていると、異様なものを見つけてしまった。
脳みそと男性器がコードでスーパーコンピューターに繋げられていたのだ。
やばいものを見てしまったと思って、彼女は引き返した。
指定の場所に担当のマーク・レイモンドが現れた。
「あ~、すいません。急用ができてしまって、、、」
ハリエットは依頼のものを手渡した。
その日の仕事を終え、自宅であの異様なものについて考えた。
「あの脳みそが人間の言葉を理解しているのかも、、、、そして、あの男性器、、、、ゼニスベータ社はエロサイトも運営しているし、、、、」
彼女はAIの正体を確かめるためにゼニスベータ社に忍び込んだ。
「きっと奴らは不正をしているはずよ。それを世間に公表してやるわ」
通気口から飛び降り、例の場所に向かうと、、、、
マーク・レイモンドと屈強なロボットがいた。
「配達の依頼はしてないはずだが、、、」
「おたくのAIはインチキでしょ!!証拠を見つけて世間に公表してやるわ!!」
「言いがかりはやめたまえ。AIボディーガードにつまみ出してもらいたいか?」
「・・・・・・・・・」
彼女はたじろぐのであった。
*** 後篇へ ***
3/31までポイント還元!!